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フラワー・メグが見たかったわけだが [映画カ行]

『鉄輪』

フラワー・メグのことは名前だけは知ってた。1971年にデビューして「1年間だけ芸能活動する」という言葉通り、1年で引退してる。初めてテレビでおっぱいを見せた人らしい。芸名は「フラワー・チルドレン」にちなんでるのかと思ったら、目黒に住んでるから「目黒の花」という意味なんだと。
俺が色気づく前に、ほんの束の間エロを振りまいて消えてった。

それで彼女のことを気になってて、今回、新藤兼人監督のフィルモグラフィでも「欠番」状態になってた、この1972年作『「鉄輪(かなわ)』に主演してるというんで、シアターN渋谷に駆けつけた。
だから「フラワー・メグを見る」というその一点買いだ。その意味では満足のいく内容だったが、他の意味では途方に暮れるしかない内容でもあった。

まず上映前に「おことわり」のアナウンスがあったが、とにかくフィルムの状態が「エグい」くらいに劣悪。
せっかく新藤兼人監督初のカラー作品だというのに、色が抜け落ちてる。画面が赤茶けてしまってるのだ。
昔浅草の映画館で3本立てを見て以来だなこんなの。
今回の上映は、新藤兼人監督のATG配給作品が初DVD化されるのを記念してのもので、この『鉄輪』もDVDになるんであれば、さすがにこの状態のプリントは使わないだろうから、DVDになってから見た方がいいよ。
しかしその画質のハンデを差し置いても、なんか三文芝居を延々見せられてるような心持ちとなるのは如何ともしがたい。

『「鉄輪(かなわ)』というのは「能」の演目の一つ。平安時代、自分を捨てて、若い女を娶った夫に恨みを抱いた前妻が「丑の刻参り」をして、呪いをかける。
悪夢に悩まされるようになった夫は、陰陽師・安倍晴明に助けを求める。陰陽師が祈祷を始めると、頭にロウソクをかざした鉄輪をはめ、「八つ墓村」状態と化した前妻が現われる。
前妻は陰陽師が用意してた「身代わり人形」を激しく打ち据えるが、神の力で跳ね除けられ、「時期を待つ」と言って去っていく、というような筋書き。

これを観世栄夫が若いフラワー・メグと浮気をして、それを妻の乙羽信子が恨みに思うという現代劇とシンクロさせてるわけだが、乙羽信子はいいんだよ。平安時代の場面で、「丑の刻参り」をするんだが、森の木立の中を、一心不乱に駆け抜けるあたりの、走りっぷりとか。
問題は観世栄夫とフラワー・メグの年の差カップルぶりで、最初はメグの自宅で不倫してるんだが、無言電話がひっきりなしなんで、それならと蓼科のホテルにしけ込むわけだが、なぜかその部屋にも無言電話がかかってくる。だんだん二人はノイローゼっぽくなってくという流れだが、これが「三文芝居」。

映画の構成を簡単に言うと、「丑の刻参り」の五寸釘→悶えるフラワー・メグ→無言電話→うろたえる観世→安倍晴明の祈祷、まあこれの無限ループだ。
特に無言電話のベルが執拗に繰り返されるんで、劇中の二人より見てる方がノイローゼになるわ。
しかもホテルのフロントとか、電話交換手の無駄にエロい女のセリフとか、不条理感を狙ってるにしても「三文」すぎる。

フラワー・メグは女優とも言えないような存在だから、芝居ができないのはしょーがないとして、観世栄夫もそれに合わせてるのか知らんが、「素人か」という芝居に終始する。
この人は能楽師として、超有名だし、映画やテレビドラマにもよく出てるんだがな。俺は「能」を見たことないから、この人はインスタントコーヒーの「ちがいの分かる男、ダバダー♪」のイメージなんだが、この映画に関する限り「ちがいが分かる」ように見えないのは残念だ。

「丑の刻参り」の呪いの五寸釘は、前の亭主に対して行ってるのかと思いきや、若い女を呪ってたんだね。
ワラ人形の股の部分にガンガン釘打ってて、そのたびにフラワー・メグが真っ裸で股おさえて苦悶してる。
彼女は映画の中でほとんど裸でいるんだが、ボカシとか入ることもなく、股間がギリ見えない絶妙なアングルやポーズが計算されてる。
たぶん新藤監督も、そこに一番腐心してて、演技指導とかまで気が回らなかったんだろう。
観世栄夫の後方に彼女が立ってるような場面は、全部見えてそうなもんなんだが、それもハッブル望遠鏡くらいの解像度が、俺の眼球にないと視認は無理だ。

セックスシーンよりも彼女が一人で悶えてる所が多くて、裸でヨガやってるようにも見える。なので裸が映ってるわりにはさほどエロくない。
フラワー・メグのことは生い立ちとかよくわからなくて、ルックスはいかにも外国の血が入ってる風に見えるが、単にバタ臭い顔だちということかも知れない。
その「1年間限定」の活動期間の間に、彼女を起用して、映倫を挑発するようなのを1本こしらえてしまおうという、新藤兼人監督の目ざとさには敬服するけど。
ちなみに他にフラワー・メグが見れるのは、DVDで出てる梅宮辰夫の『不良番長 口八丁手八丁』ぐらいだ。
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